イヴリー・ギトリスさんの情熱に胸をうたれました。


今日、イヴリー・ギトリス ( Ivry Gitlis  ) さんの ヴァイオリン・マスタークラスを聴いてきました。  1922年に イスラエルのハイファ で生まれ フーベルマンに認められ パリに留学し、エネスコ、ティボー、フレッシュに師事し 戦後ロンドンで デビュー を成功させ、 1951年の ロン・ティボー国際音楽コンクールの後 アメリカ・デビューもおこない セル、オーマンディ、バーンスタインなどの名指揮者達と共演し、 その後パリを本拠地として演奏活動をつづけている 巨匠です。 ( 上写真は パリのお住い窓辺のギトリスさん。)
 

実は一度もお会いしたことがなかったのですが 私にヴァイオリンを注文してくださった方が、ギトリスさんとお知り合いで 2007年のパリからのお土産は 『 謎かけ 』めいた ギトリスさんの励ましのお言葉でした。 折を見てギトリスさんの演奏会に出かけようとずっと思っていたのですが、 今日やっと願いがかないました。

二子玉川駅の近くにある 『 オーキッド・ミュージック・サロン 』を会場としての公開レッスンは、4名の受講生にたいするレッスンでした。 もちろん レッスンのなかで ギトリスさんが演奏するのをしっかり聴かせていただきました。 感無量です。 いままで私が聴講したことのあるレッスンのなかで、最も ” Passionata ” でした。 ご本人は年齢はあまり意識されないようですが 88歳のヴァイオリニストです。 恥ずかしながら 私は 終了時間が明記してなかったので3時間後の6時に終了すると予想してでかけました。  ところが 3:10始まりの1人目が 4:25、 4:30からの2人目が 6:00 …そして3人目が 6:05から 7:00 … 4人目は 7:05から 8:00 … そして下の写真は終了した 8:15頃 携帯で撮影させていただきました。  結局は タップリ 5時間 … 脱帽でした。

いろいろ興味深いお話を胸にきざませていただきましたが、 レッスンの最後のお話を書かせていただきます。 歌心をもって ブラームスのヴァイオリン・ソナタを弾いた 20歳の大学生の男性に対して 演奏家にも哲学が必要なことを説き、続けて日本語まじりで ヴァイオリニストとして 『 サ・ム・ラ・イ 』の精神性を持つことをすすめられていました。 その研ぎ澄まされた感性はヴァイオリニストにも相通じる趣旨の言葉のあとで 左手の人差し指をまっすぐたてて 『 シィーッ!』 と 耳をすませるように指示されて … いまのいまだって … そうして何秒間か会場にしずかな時間が過ぎました。  文字にすると目新しさがあるわけではありませんが、そこには実に 人としての『 真 ( まこと) 』がありました。 5時間に及んだ イヴリー・ギトリスさんのパワフルなレッスン 『 ロング・アフタヌーン』 の最後はこうして終わりました。

おかげさまでエナジーをいただき、『 どちらの若者も頑張らねば!』と思った一日でした。