先週の金曜日に 私の工房に入荷した オールド・ヴァイオリンです。
フランシス・ゴベッティ( w. Cremona 1690 – Venezia 1749 )が 1706年に ヴェネツィアで製作した‥‥ というラベルが入っています。
ゴベッティさんは アントニオ・ストラディヴァリのお弟子さんと伝えられているヴァイオリン製作者です。
さて著名製作者ラベルが貼ってあるオールド・ヴァイオリンですが 私は最初の1分間で目ぼしをつけて3分後に本棚に近寄り 参考文献を取り出し 5分後に 『 これは 1770年頃に製作されたヴァイオリンだと考えられます。』 との結論をだしました。
私は ヴァイオリン鑑定で大切なのは経験を積みかさねて 弦楽器の特徴をきちんと把握していることだと思っています。
ですから十分な経験がない方が ヴァイオリンを鑑定するのは難しい‥‥ と思います。
ただ専門家の 『 判断の根拠 』を 知ることは オールド・ヴァイオリンを使用する方達にとって意味深いことだと思いますので このヴァイオリンを使って 『 私が 5分間で下した ” 判断 “のお話し 。 』として書いてみたいと思います。
Labelled Francesco GOBETTI , Violin Labelled Francesco GOBETTI
【 最初の一分間で考えた事 】
まずヴァイオリンの裏板側とスクロール裏を見たあとで 表板側をながめながら、自分が過去にみたヴァイオリンのなかで同じ形をしたものがないかを考えました。 そして いくつか思い浮かべたなかで スウェーデンの首都ストックホルムのヴァイオリン製作者の製作したF字孔が そっくりなのを確信しました。
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Labelled Francesco GOBETTI , Violin Petter HELLSTEDT Viola 1759
【 次の二分間で考えた事 】
それからこのヴァイオリンの特徴的なフォルムとニス仕上げなどから 彼はどの地域に住む製作者の影響を受けたかを考えました。
そして 私は Mittenwald に生まれてチロル地方の Bozen でヴァイオリン製作をしていた Johann JAIS の独特なスタイルの影響をうけているとの結論を出しました。
S J. JAIS Viola 1773 Labelled F. GOBETTI, Violin P.HELLSTEDT Viola 1759
注)これらの製作者のヴァイオリン写真がありませんでしたので上の左右に引用した写真は ビオラです。ご了承ください。
【 三分後に開いた専門書について 】
そして自分の見立てに誤りがないかを確認するために最初に開いたのは 1988年にスウェーデンのマルメー( Malmö )で出版された ” Svensk Fiolbyggar Konst( Swedish Violin Making )” Bengt Nilsson 著の 25ページでした。
なぜなら、そこに下の写真があるのを知っていたからです。
Petter HELLSTEDT Viola 1759, Stockholm / 412.0mm
父親が製作したビオラはスクロールの幅が狭いですね!
S Petter HELLSTEDT Viola 1759 Labelled F. GOBETTI, Violin
そして 23~24ページにある記述を確認しました。
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これらの記述から父親は ストックホルムの Olof Arling 工房で修業ののち独立し 1772年に亡くなったことと、息子は 1740年生まれで 1763年まで父の指導を受け そののちフランス、ドイツ、イタリアで 7年間にわたって働いたあと父の工房を受け継いだとなっていることが分かります。
因みに、私は以前この工房のヴァイオリンを2台取り扱ったことがあり そのときに資料の精査をおこないましたので 、これらの内容は記憶していました。
そして次にフォルムやスクロールの特徴を確認するために 2冊目の参考文献として 1986年に出版された Walter HAMMA 著 ” Violin – Makers of The German school ” の 394ページを開きました。
Johann JAIS( 1732 Mittenwald – 1752 Bozen – 1780 )396mm Viola 1773 Bozen
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これはアウトラインの比較と スクロールの削りの特徴を確認するためでした。
J. JAIS Viola 1773 Labelled F. GOBETTI, Violin
私は ビオラのヘッドとヴァイオリンのヘッドの違いはありますが 、この両者の比較で スクロール下部のエッジの薄くシャープなヘリの削り方やスクロール曲面の仕上げなどに十分な共通点があると考えました。
そして、最後に 1973年に出版された William Henley 著 ” Universal Dictionary of Violin and Bow Makers “の 558ページを開きました。 これには次のように記されています。
HELLSTEDT, Petter.
Worked at Frottuna, 1736. Moved to Stockholm, 1750. Died 1772.
HELLSTEDT, Petter Alexander.
Born 1750. Son and PUPIL of P. Worked in Germany. Returned to Stockholm 1772. Died 1780. Violins of good style with a few personal touches. Flexible tone, quickly responding to any nuance.
最後のところの ” Flexible tone, quickly responding to any nuance. ” まさにこの フランシス・ゴベッティのラベルが入っているヴァイオリンの特徴が書かれています。
これはオールド・ヴァイオリンによくみられる( 私は アマティなどを筆頭に 1/3 くらいはこのタイプだと思っています。)特徴でもある訳ですが 響胴が バランスよく振動する工夫が 本当にすばらしいと思います。
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【 私が 五分後に下したジャッジメント 】
私は このヴァイオリンは ストックホルムの HELLSTEDT工房で 1770 ~ 1775年頃に製作されたもので、F字孔まわりに 父親 Petter HELLSTEDT のスタイルが色濃くあらわれているため 父親の製作した確率が 40%で、息子の Petter Alexander HELLSTEDT の確率が 60%だと考えます。 そして私は このヴァイオリンの販売価格を およそ 180万円 ∼ 280万円相当と判断します。 なお 価格の幅は この工房のヴァイオリンは オリジナル・ラベルが失われたものが多く、このヴァイオリンのように オールド・イタリアンや オールド・ジャーマンのラベルに交換されたりノーラベル状態で 300万円前後で販売されている実例があるためです。 よって 私は このヴァイオリンの販売価格を 180万円( これは整備済みお渡しの場合で、税込みです。なお現状渡しの場合 は 税込み 150万円です。)と決定しました。
【 ヴァイオリンの査定と裏付けについて 】
ここまで私の工房でオールド・ヴァイオリンの査定を5分ほどでおこなったお話しとして書いてきました。 皆さんは短いとお感じでしょうか?
一般論としていえば 今回は私の工房にもちこまれたので 査定に『 5分も‥。』かけましたが 通常のヴァイオリンの業者間取引がおこなわれる場合はもう少し短い時間で判断します。
ご存じない方は『 そんなに短時間で大丈夫なの‥? 』と思われるかもしれませんが、実はヴァイオリンなどの取引をする専門家は その経歴の初期に時間をかけて査定をした経験をかさねているので ” 学習済み ” なのです。
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私の場合 この HELLSTEDT工房のヴァイオリンを最初に見たのは 14年程前のことでした。これは委託販売の相談者の方が30年ほど前から所有していたもので、オリジナル・ラベルが入ったヴァイオリンでした。この時は このヴァイオリンを採寸したあとで 午後1時くらいからテーブルの上に置いた楽器と資料集の写真を付き合わせながらページをめくるのを 翌朝 6時ころまで続けました。 それは 今回のヴァイオリンと同じように スクロールやフォルムにドイツ系の作りの特徴がみられたので 判断するためには精査する必要があると感じたからです。 そのヴァイオリンのラベルは 父親 の Petter HELLSTEDT となっていましたが、製作年は文字が薄くなっていて解読できませんでした。
私はこの時にこのフォルムは Mittenwald に生まれてチロル地方の Bozen でヴァイオリン製作をしていた Johann JAIS の独特なスタイルが手本とされている可能性が高いと判断しました。 そして 私にとって重要な事実は 今回のフランシス・ゴベッティのラベルが入っているヴァイオリンがこの時のヴァイオリンとそっくりだったということです。
そういうことで 私はこの時にスウェーデンの弦楽器製作者の資料がほとんど 存在していないことを確認しました。 たとえば息子の Petter Alexander HELLSTEDT が生まれた年ひとつとっても” Svensk Fiolbyggar Konst( Swedish Violin Making )” は 1740年で、” Universal Dictionary of Violin and Bow Makers ” が 1750年としてあり、1968年に London で出版された Karel Jalovec 著の ” Encyclopedia of Violin – Makers ” vol .Ⅰの 388ページには 1745年頃となっている有様です。
これは北欧の歴史を考えると理解できるかもしれません。
現在スウェーデンは人口 925万人で その内 75万人が首都ストックホルムに住んでいます。 この国は 13世紀の半ばに小さな島だった スタツホルメン島に砦を築くときに戦闘にそなえて島を囲むように丸太の柵が巡らされていた為にスウェーデン語で「丸太の小島」とよばれた ストックホルムを中心にはじまり17世紀にグスタフ二世アドルフ(獅子王)の時代にバルト帝国が建国され、 新大陸にも植民地を築き王国は栄えます。
しかしこの後に 凋落傾向がつづく中で 1710年のペストの大流行の打撃を受けた時期とかさなる 1700年 ~ 1721年の大北方戦争でロシア帝国に敗れ沿岸領土の多くを失う状況にいたります。
こういう状況下の 1771年に グスタフ三世( Gustav III 1746年 ~ 1792年3月29日 / 在位:1771年 ~ 1792年 )は 25歳で国王に即位するとすぐに王党派の支持の下で近衛兵を用いてクーデターを起こし政権を取り戻し『 絶対君主制 』を確立します。
彼はスウェーデンで中興させた国王として知られていて彼の治世は『 ロココの時代 ( グスタフ朝時代 )』と呼ばれています。
この文化的に華やかな時代は 1792年3月16日に ストックホルムのオペラ座で仮面舞踏会の上演中にグスタフ三世が背後からピストルで撃たれ 二週間後に 46歳で死去するまで続きます。そしてスウェーデンはまた 激動の時代をむかえました。
このスウェーデンにおける『 ロココの時代 』に ストックホルムの HELLSTEDT工房ではヴァイオリンなどが製作されていたのです。
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そして次に、私が HELLSTEDT工房で製作された可能性が高い 別のヴァイオリンを手にしたのは はじめての出会いから三年くらい経過した時期( いまから十年ほど前です。)のことでした。
私の工房にオールド・ヴァイオリンで 予算が 300万円くらいの予算で購入を考えていらっしゃるお客さんがみえたので、 取引先の輸入代理店のいくつかに問い合わせをいれたら その内の一社の営業担当者が翌日ノーラベルのヴァイオリンを届けてくれました。
この時も 午前中から夕方までの六時間ほど‥ と私は記憶していますが、前回とおなじように資料集の写真と現物を机の上にならべて とくにドイツ系、オランダ系の弦楽器製作者のヴァイオリン写真を中心に入念に付き合わせをおこないました。
その結果このノーラベルのオールド・ヴァイオリンも HELLSTEDT工房で製作された楽器と判断できました。
そういう経験をもとにして 今回のフランシス・ゴベッティのラベルが入ったヴァイオリンを 私は HELLSTEDT工房のものと判断しました。 今回はこれで済みましたが ヴァイオリン鑑定ではオールド・ヴァイオリンは 写真などを駆使しても、写真資料と同一楽器であるかどうかを判断するとき以外は 決定的な根拠がみつからない場合が多いです。
そこでヴァイオリンの鑑定をする時に大事にされているのが オールド・ヴァイオリンの ” 現物 ” を手にもちながら その ” 映像 ” や ” 感触 “をも判断に取り入れるという事です。
私は ほとんどの弦楽器専門家は これを 大切にして 判断を下されているのではないかと思っています。
ヴァイオリン鑑定においての私の心得は一言でいえば 『 常ニ ソナエヨ。』です。
HELLSTEDT Workshop Violin c.1770 ( Stockholm, Sweden )
Body Length 356.0mm : Stop 193.0mm
販売価格 ¥ 1,800,000- ( 税込み、整備済みでのお渡し価格です。)
注) 現状お渡しの場合は税込み ¥ 1,500,000 – です。
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それから 一般論で言えばのヴァイオリン鑑定は 『 思い込まないこと。』が大切です。
この投稿を書き始めた 7月18日に私の工房に 12年程前に都内のヴァイオリン・ショップで ¥9,200,000- でヴァイオリンを購入された方から 委託販売のご相談をうけました。 そこで 次は このヴァイオリンについてお話ししようと思います。
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S Violin Head : Bass side / Front / Treble side
私の工房に 約束の時間に 相談者の方達は このヴァイオリンと 鑑定書( Certificate )を持参してくださいました。 私はそこで 鑑定書は委託販売資料としてその場でコピーを取らせていただきましたが 自分自身の判断のために内容は読みませんでした。
ここで ヴァイオリン鑑定で大切なことを書いて置きます。
それは 『 そこに自分の考えはあるか? 』です。
ヴァイオリンの鑑定は 即、値段を意味する場合が多く専門家として その責任は重いと私は考えます。 ですからヴァイオリンを査定する場合には可能なかぎり『 ゼロ・スタート 』します。 私がこの John & Arthur Beare( Charies Beare )が 1998年に発行したCertificate の内容を確認したのは コピーしてから二十時間以上たった翌日のことでした。
このヴァイオリンには Giovanni Gagliano( worked 1740 – 1806 )の息子 Gaietanus Gagliano( 1750 – 1824 )が Naples で 1800年代に( 文字が不鮮明で下二けたが読めません。)製作した趣旨のラベルがはいっています。
そこで こういう弦楽器を鑑定するときほどサイズは重要となります。
多くの弦楽器専門家は ヴァイオリンを扱う時に可能なかぎり そのサイズを計測し記録します。 因みに 私の場合は 下の写真のように 2001年から 105×148 mmの 5号ノートを使用しています。それ以前はもっと大判のノートを使用していましたが 作業台の上で修理や 製作をしている最中でも場所をとらないので 11年前からこのサイズのノートに基礎データを記録して詳細データは A4サイズでプリントした画像に書きこむかたちを取っています。
その記録内容は 専門家によって異なりますが 私の場合は 表板を開けていない場合は下に例としてあげた Giovanni Battista Ceruti の 1791年製ヴァイオリンの計測記録くらいを標準としています。これは 私が 15年ほど前に販売したヴァイオリンで、当時 私が使っていた大判のノートには 計測記録がのこしてあったのですが いつも身近に置いているノートに記録していないと使い勝手がわるいので、整備のために持ち込まれたこの日に再計測したものです。
こうして蓄積したデーターと画像は 私達の判断を助けてくれます。
今回、委託販売を依頼された Giovanni Gagliano のラベルが入ったヴァイオリンの場合は 最初にスクロール・アイの幅を計測するとともに ペグボックス・フロアー厚( ペグボックス底 の厚さ )と ヘッド全長を目測で チェックしました。
たぶん 1 ~ 2分くらいだったと思います。
私はこの時点で このヴァイオリンは 1910年以降に製作された可能性がたかいと考えました。その根拠は私は ヘッドの規格が Giovanni Gagliano の時代のものを後の時代にアレンジしたものと判断したからです。
最初に私が確認したヘッド部の3ヶ所を 翌日私が計測した数値をあげておきます。
ヘッド全長 114.5mm
スクロール・アイ部幅 45.8mm
ペグボックス底厚さ 上右側 4.9mm – 中央部右側 5.8mm – 下部右側 6.65mm
S 上左側 5.5mm – 中央部左側 6.8mm – 下部左側 6.1mm
そういうことで 私はお預かりした翌日に製作者のジャッジをするために 朝からこのヴァイオリンの計測をしました。 ちなみに私はヘッド部分だけでも 次の数値部は必ずしらべています。
これらのデータから私達は ヴァイオリン製作者ごとにいくつかの指数を学んでいます。
例としてあげた3項目について私の判断基準をいえば ガリアーノ・ファミリーのヴァイオリン・ヘッドは 標準型のヘッド全長が 106.5 ~ 107.5 mmと、ロング・タイプ( 107.5 ~ 112.0mm )が製作されています。 しかし私が確認できたのは 112.0mm までなのと 音響的条件を考えるとそれを越える長さのガリアーノ・ファミリーのヴァイオリンはほとんど無いと思っています。
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それからガリアーノ・ファミリーのヴァイオリンのスクロール幅はおさえられている場合が多いです。 たとえば Nicolo Gagliano c.1745 のスクロール・アイ幅は 39.4mm 、ガリアーノ兄弟 ( Giuseppe 1726~1793 , Antonio 1728~1805 )が 1754年に制作したヴァイオリンのスクロール・アイは 35.7mm となっていました。
よって私はヴァイオリンのスクロール・アイが 42.0mmをこえる場合はファミリーのものでない可能性が高いと考えます。
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3項目目のペグボックス底厚さについては 私のサイト http://www.jiyugaoka-violin.com/2015/%e3%83%b4%e3%82%a1%e3%82%a4%e3%82%aa%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%81%ae%e8%a9%b1/6-%e3%80%80%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%ab-%e3%80%80%e3%83%9a%e3%82%b0%e3%83%9c%e3%83%83%e3%82%af%e3%82%b9%e3%80%82 をご覧ください。
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私は 今回のヴァイオリンの査定で 最終的に このヴァイオリンはガリアーノ・モデルの弦楽器製作者として有名な Giovanni Pistucci ( 1864 – 1955 )さんがナポリで 1920年頃に製作した可能性が高いと考えました。
そして John & Arthur Beare( Charies Beare )が 1998年に発行したCertificate の内容を確認しました。 下の写真の通りでしたので『 さすが‥ 。』、とにかく正しいジャッジメントでほっとしました。
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William Henley 著 ” Universal Dictionary of Violin and Bow Makers “の 908ページには次のように書かれています。
Giovanni Pistucci
Born 1864. Pupil of Postiglione.
Worked at Naples. Won medals at Brussels and Naples.
Made about 200 violins, 30 violas and 20 cellos.
First instrument dated 1885.
Complete and perfect unity in design. Various models.
Varnish of several shades masterfully applied.
このヴァイオリンをナポリで製作した Giovanni Pistucci さんは、私達のあいだでは ガリアーノ・モデルの製作者として有名です。 彼が製作した弦楽器はしばしば本物として譲渡されていて 響きは華やかな歌い方が印象的です。 今回 私が 委託販売のご相談を受けたヴァイオリンも 鑑定書の通りとして 販売することに決めました。
なお 私の工房での販売価格は Giovanni Pistucci Violin の現在の標準価格をめやすとして 所有者の方の了承のうえで販売いたしますのでよろしくお願い致します。
興味がある方は 私の工房に お気軽にお問い合わせください。
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さてここまで ヴァイオリンの鑑定と『 その見方 』について実例を用いて お話ししてきましたがいかがだったでしょうか?
残念ながら 私が使用している ヴァイオリン製作者ごとに確認した いくつかの指数などについてはこれ以上公開できませんが 常々続けている判断基準の研究が 大切という事はご理解いただけたと思います。
以上、長文にお付き合いいただきありがとうございました!
横田 直己