このように、Guarneri del Gesù “Carrodus” 1743年と、 Giovanni Battista Ceruti ( 1755-1817 ) “Ex Havemann” 1791年、そして Gaetano Gadda ( 1900-1965 ) が1925年頃製作したヴァイオリン・ヘッドをならべると、『 滑らかなアウトラインでない渦部( ボリュート )』が写されていることが分ります。
これは、渦部( ボリュート)に『 “特定の振動”を生じさせるための工夫 』で、偏心重りのように不連続であることで振動を増幅させる仕掛けであると考えることが出来ます。
Enrico Marchetti ( 1855-1930 ) Violin, Torino 1886年
このような工夫は、渦部( ボリュート)の 喉( Throat )にも見ることができます。
Enrico Marchetti ( 1855-1930 ) が製作したヴァイオリン・ヘッドの喉部にあるような “直線加工部”が それにあたります。
Enrico Marchetti ( 1855-1930 ) Violin, Torino 1886年
“Guarneri del Gesù”( 1698-1744 ) Violin, “Enescu – Cathedral” 1725年頃
Guarneri del Gesù”( 1698-1744 ) Violin, “Baltic” 1731年頃
“Guarneri del Gesù” Violin, “Ex Doubleday – Ex Duvette” 1741年
Giuseppe Leandro Bisiach( 1864-1945 ) Violin, Milano 1910年
また、渦部( ボリュート)エッジの 段差加工も同様な工夫と思われます。
Antonio & Girolamo Amati Violin, “The KingHenry IV” 1595年頃
Enrico Marchetti ( 1855-1930 ) Violin, Torino 1886年
偏心重りのように不連続であることで生じる振動は、この玩具のようにモーターの回転による遠心力によって拡大させると、激しい振動にすることさえ出来ます。
私は そのシュミレーションをするために、この玩具を一つ ¥1,280- ほどで購入しました。
この ヘックスバグ・ナノは 小型の偏心モーター( 1.7g )を用い、それに対となる部品( LR44ボタン電池 2.0g )を置いて シーソーのように揺れながら振動する 設計になっているようです。
では、この仮説のような不連続であることで生じる振動が ヴァイオリンやチェロのヘッドで実際に生じている状況証拠について確認してみましょう。
Giuseppe Leandro Bisiach( 1864-1945 ), Violin “World Exhibition of Brussels” , Milano 1910年
先ず、私は この Giuseppe Leandro Bisiach( 1864-1945 )が製作した1910年製ヴァイオリンの ニスに入った細かいひび割れに着目しました。
観察してみると、これらのニスひびは ランダムに入った訳ではなく、ヘッドの揺れ方に対応していることは 明らかでした。
( 恐縮ですがこの投稿は書きかけです。この続きは、随時書き足す予定となっています。)