それから 私はピアノの鍵盤と弦 ( ミュージックワイヤー )が 基本としては一対一対応ではないことを意識することも、楽器の『音の数』のイメージに つながると考えています。
Steinway / Concert grand piano “D 9’ Grand Grand”
たとえばこのスタインウェイ・コンサートグランドピアノのD型の場合 下の表にあるように 88鍵盤のうち左端から 8鍵だけは音響上の理由で 1鍵に弦が 1 本対応していますが、9鍵から 13鍵は弦が 2本で 残り75鍵は 1鍵に弦が 3本張られています。つまり、このピアノは 88鍵を操作することで 243本の弦が響きのエネルギーを供給する仕掛けになっています。
ただしピアノの場合も ベーゼンドルファ・インペリアルのように 97鍵盤のものや、ブリュートナーのように高音部に 4本の弦が張られているものなど 想像以上に多くのモデルがあります。
また 一般的なピアノは弦が折り返して張られていますので張る前は ”2本”分が 1本とも数えられますし、「総一本張り張弦方式ピアノ」は折り返し無しで張られているなど多種多様です。
それから張力の観点からみると 弦長とピッチの設定が影響しますので 敢えて大ざっぱな表現をすれば、一般的なピアノは 88鍵盤に対して200本以上の弦が張られ、弦1本あたりの張力は90kgほどのため 全体の張力は おおよそ 20t 程という表現になるそうです。
そういうことでピアノの 弦数( ミュージックワイヤー数 )の例として演奏会でよく使用されるスタインウェイ・コンサートフルグランドピアノのD型でみると 合計243本の弦は 1鍵盤あたり平均2.76本であり、88鍵盤のうち85.2%である75鍵盤は 演奏者が1つの鍵盤をたたくと 1つのフェルトハンマーが 3本の弦を同時にたたいてピアノの響きを生みだすように工夫されていることが分かります。
皆さんはこの弦数をどうお考えになるでしょうか?
私は はじめてこれを知った時には『 思ったより 多い。』と感じました。