オックスフォードの アシュモレアン美術・考古学博物館
( MUSICAL INSTRUMENTS COLLECTION ) に収蔵されている アンドレア・アマティが 1564年頃製作したとされる ヴァイオリンとテナー・ビオラ( B.L.471mm )の指板を観察すると、興味深いことがわかります。
それは、このヴァイオリンの指板は 下端部角を見るとエッジが鋭いので 新しいものであるということ、テナー・ビオラ指板は 製作された当初のものである可能性が高いということで、その意味を考えることで 私は重要な調整方法にたどり着きました。
そもそも、ヴァイオリンなどの弦楽器指板は 角が鋭い形状に作られてはいませんでした。
“Fingerboard” Antonius Amati & Hieronymus Amati
指板のエッジが鋭いと 剛性が高くなりすぎて『運動』が難くなり、せっかくの弦の振動エネルギーが 無駄に消費されてしまうからです。
これは、指板の素材が最近のように全部が黒檀ではなくて もっと柔軟性に富んだ木材を使用し、ヴァイオリンの場合で 全重量 ( 17世紀の基本重量は 300~330gと考えられます。)の 10%~15%、つまり 30~49.5g程だったことを思いおこせば 理解しやすいと思います。
“Violin fingerboard” Attributed to Nicolò Amati( 1596–1684 ), Total length 199mm – Width 37mm, Maple wood.
“Violin fingerboard” Giovanni Battista Guadagnini( 1711-1786 ) “Trechmann” 1757年 / Total length 236mm / 24.0 – 37.5mm / thickness is 11.8mm / made of beech wood and covered with an ebony veneer approximately 1mm thick.
アマティ工房のメープル材指板も すばらしいものですし、ガダニーニの 1mm厚の黒檀突板が 貼られたブナ材指板も 興味深いと思います。
これらの 指板突端で”対”となっている二つの角には、エッジを (1)意図的に残す- (2)丸くする – (3)平らにする という加工を使い分けながら、2点間に差をつけることで 中央軸を傾けて、”ねじり”を誘導する役割が持たせてあったようです。
“Violin fingerboard” G. B. Guadagnini ( 1711-1786 ) Violin, “Trechmann” 1757年
Attributed to Nicolò Amati ( 1596–1684 ), Total length 199mm- Width 37mm, Maple, “Jean-Baptiste Vuillaume collection” Paris .
この二つの角部の関係は、指板端の断面部の厚さが、基本として低音側を高音側よりも薄くしてあるものが多いことからも、左右がつり合わない様にしたことが推測できると思います。
“Pochette” Gaspar Borbon ( ca.1673-1705 ), Brussels Belgium 1686年
“Violin fingerboard” Lorenzo Storioni ( 1744-1816 ), 1793年
“Violin fingerboard” Johann Gottlob Ficker, Neukirchen – Saxony, 1810年
現代まで遺されたオールド弦楽器の指板は、求められる楽器性能の変化や 使用したことによる劣化により 交換されていることが珍しくなく、製作当初の指板を確認するのは難儀です。
それでも、例えば下の “ロンベルク指板”のように 特徴から製作時期などを推測できるものがあります。
“Romberg fingerboard”( Romberg flat was not flat. ), 1810年~1840年頃
指板エッジの面取も明確で 良いのですが、なによりもオーボエ・リードの先端のように、指板端から 10mm程の位置から先端に向けて薄くなっていく設定がハッキリ残っており、それを観察できるのが有り難いと思いました。
Bernhard Heinrich Romberg ( 1767-1841 ) “肖像画” 1815年
“Method book – Violoncell Schule”, Bernhard Heinrich Romberg ( 1767-1841 ),1939年著 Berlin, 1840年出版
“ロンベルク指板”に関しては、彼が出版した チェロ教則本にプラン図面まで残されていますので、この指板の資料価値は非常に高いと思います。
“Method book – Violoncell Schule” Berlin, 1840年出版
“Romberg fingerboard”( Romberg flat was not flat. ), 1810年~1840年頃
なお、指板端角部の加工は 特別な製作者だけでなく、下の 1885年頃に作られた英国製ヴァイオリンのように、1940年頃までは一般的な加工として実施されていたようです。
ところで、私はこういった時代物の指板を目にすると、いつも指板材の樹種が気になります。
“Violin fingerboard” JAMES ROSS Violin, Aberdeen 1885年頃
“Neuner & Hornsteiner” Ludwig Neuner ( 1840-1897 ) Cello, Mittenwald, 1890年頃 ヘッド+指板&ナット( 208g )+ネック部 539.0g – ペグ 52.0g – 響胴部 1648.0g / ペグ以外のパーツ無し重量 2239g
因みに、用材を選択する能力が高かった1890年頃に製作されたこのチェロは、指板材として 黒檀ではない 柔軟性に富んだ木材が選ばれており、エッジ加工はほんの少し施されているだけです。
“Cello fingerboard” Neuner & Hornsteiner – Ludwig Neuner( 1840-1897 ), Mittenwald 1890年頃
このチェロは ペグ穴傾斜角もそのまま保たれており、資料的に意味深いミント・コンディションでした。
私は これによって、この加工が 指板の揺れ方をコントロールするためのもので、材木も含めた諸条件として 総合的な判断で施されたと理解しました。
“Cello fingerboard” Neuner & Hornsteiner ( Ludwig Neuner 1840-1897 ), Mittenwald 1890年頃 W 33.4 – 47.5 – 63.5 / L 588.0mm
“Violin fingerboard” Andrea Guarneri ( 1626-1698 ) Violin
こういった視点で観察すると、新しいものと交換された”オールド・バイオリン”でも、交換前指板のエッジ加工の要素を移そうとしたか・・、あるいは良好な設定に復元しようとしたと推測できるものを目にすることがあります。
“Violin fingerboard” Andrea Guarneri, Violin
たとえば このヴァイオリン指板端のように、下側角だけが面取で丸くしてあるタイプは よく目にしますが、この加工形状を私は”様式化”された加工と表現しています。
この形状モデルは、上のヴァイオリンや、下の ジャクリーヌ・デュ・プレ ( Jacqueline du Pré 1945-1987 )さんが使用した 1673年製ストラディヴァリウスのチェロ指板などを参照してください。
Antonio Stradivari Cello, “Harrell-Du Pre-Guttmann” 1673年
なお、ピリオド弦楽器の場合改変されている現況から、修復する場合も、コピーを製作する場合も、指板に関しては 微妙な判断が必要となります。
例えば、マウリツィオ・タディオリ ( Maurizio Tadioli 1967 – )氏は コピーを製作するのに、指板に関しては現況よりも 楽器として良好な設定に復元するのを選び “様式化”された指板を試みています。
ところで、私は この指板エッジの”様式化”加工を、強弱で二つに分類しており、先に例示した方が”弱”タイプとなります。
これに対して、下のストラディヴァリウスの 1667年製チェロの指板端のような 最大加工を施したものを”強”タイプと捉え、”ポジティブ”仕上げと呼んでいます。
Antonio Stradivari ( ca1644-1737 ) Cello, Cremona 1667年
それは このように、指板端のエッジを 表裏とも面取した上で 可能なかぎり丸く加工し仕上げたものを指します。
Antonio Stradivari ( ca.1644-1737 ) Violin, “Wurlitzer Collection” 1681年
さて話は少しそれますが、これらの指板を観察する場合に チェロは大きいので識別するのは簡単ですし、ヴァイオリンでも この ストラディヴァリウス 1681年のような “ポジティブ”仕上げであれば一見しただけで分ると思います。
しかし 微妙な加工の場合には観察しにくいので、指板角などを指先で触って確認してみるか( 全く加工していなければ 角に触れるとツンツンしているので、すぐに分ると思います。)、携帯などで撮影してから 拡大して調べることをお勧めしています。
Antonio Stradivari ( ca.1644-1737 ) Violin, “Hamma” 1717年
それでは 他の事例をもう少しあげておきます。
この ストラディヴァリウス 1717年は 前澤 友作氏が購入したことでも話題になりましたが、確かに取り付けられている指板も最高のものだったと思います。( おそらく最近新しい指板に交換されたようなので、現在はエッジが鋭い状態だと思います。)
もちろん、この指板が 何年前のものか判然とはしませんが、指板端エッジの形状をみると 音響的なコントロールができる凄腕の職人が加工したものであると 私は感じます。
Guarneri del Gesù ( 1698-1744 ) Violin, “Baltic” 1731年
それから、この 1731年頃製作された ガルネリ”Baltic” は先月、March 9,2023 / Tarisioオークションで944万ドル( 12億円ほど )で落札され話題となりました。指板について言えば、両角部を中心に”様式化”された加工となっているようです。
また、この 1743年頃とされる ガルネリ”Canary Bird”の指板も “弱”タイプですが”様式化”された加工がなされています。
“Guarneri del Gesù” Violin, “Canary Bird” Cremona 1743年頃
このように “現役”のストラディヴァリウスや ガルネリも含めて多数の事例を見つけることができるように、指板突端の”対”となっている二つの角周りなどのエッジを (1)意図的に残す- (2)丸くする – (3)平らにする という加工によって、中央軸を低音側に移し、”ねじり”が生じやすくなっている指板は 弦楽器の音響特性を向上させていると考えられます。
因みに、この印を 私は重要だと思います。なぜなら、指板裏にあるこれら 2点マーク( 白点 )を結んだ 指板軸( 赤線 )の傾斜角度が、左右がつり合わないように意図して これら二つの指板が製作されたことを示していると考えられるからです。
Fingerboard
Although many people aren’t aware of this, the fingerboard also vibrates with the instrument. This may or may not contribute to the overall sound characteristics.
F.B. scroll174hz The images shown span from the top of the scroll to the end of the fingerboard ( left ) / and 2428hz ( right )
このGIFイメージは 節の位置座標が多少ズレていますし、実際には 右画像のように 指板端から 1/4位置に”不動の節”は出来ませんが 、ともあれ指板先端の”ねじり”が分りやすくて 助かります。
この加工の要領の一つは、指板端角部の”堅さ”により指板中央に納っていた指板軸を、形状の工夫によって低音側に移動させ、それによって”ねじり”を誘導しているという意識を持つことです。
Gio Batta Morassi ( 1934-2018 ) Violin, Cremona 1994年
それでは これを、ジオ・バッタ・モラッシー( 1934-2018 )氏が製作した 1994年製のヴァイオリン指板で見てください。
Gio Batta Morassi ( 1934-2018 ) Violin, Cremona 1994年
この指板は、おもに下端角部エッジを丸めるような加工が なされています。
Gio Batta Morassi ( 1934-2018 ) Violin, Cremona 1994年
そして、左右角部を比較すれば 明瞭なように G線側角( 左側 )が E線側角( 右側 )より 丸く削られています。
Gio Batta Morassi ( 1934-2018 ) Violin, Cremona 1994年
この指板設定は 幅24.1 – 32.8 – 42.3mm、長さ269.6mm で、重量 68.0gでした。
Gio Batta Morassi ( 1934-2018 ) Violin, Cremona 1994年
ところで、私がこの加工をあえて”様式化”と分類したのには理由があります。
Gio Batta Morassi ( 1934-2018 ) Violin, Cremona 1994年
この指板エッジ形状加工を、指板中央軸による”ねじり”を誘導するためのものとして『合目的』に考えると、最良のタイミングは 弦が張られていてチューニングしてあり、響きで確認ができる 仕上がり直前であると考えられます。
私も実際にやっていますが・・ 試奏しては 指板の非対称バランス・イメージを熟慮したうえで、角部などのエッジを相対的に 少しだけ丸く加工し、また試奏をして”対”となる部位の関係性を誘導するやり方で、響胴の共鳴音( レゾナンス )を調節し決定する作業として実施しています。
その際には、1. 響きの聴き分け。2.視覚的情報からの読み解き。3.ヴァイオリンや ビオラでは水平に保持しながら揺らして”ねじり”による運動を触覚で識別する。の三つがどれも重要となります。
私はこのやり方を “オーセンティック ( authentic )”と捉え、その試みの簡略版を”様式化”と総称して区別しているのです。
1.と 2.は説明不要ですが、3.ヴァイオリンや ビオラでは水平に保持しながら揺らして”ねじり”を触覚で識別する。は弦楽器製作などを経験していない方に理解していただくことは かなり難しいことですので、触覚を視覚に置き換えるための このような写真でご容赦ください。
人の手のひらの触覚は 研ぎ澄ますと、ヴァイオリンなどの”ねじり”を感知し”識別”することができます。
例えば、顎あてを取り付けていないヴァイオリンを 写真Ⓐ のように保持して、軽く振りながらデジタルカメラで撮影すると Ⓑ、Ⓒ のような写真が撮れます。
この写真には 背景とした書籍がハッキリ写っていることから、ヴァイオリンを支えている中央部が “節”となり、その両端のヘッドとネックブロック部以外の響胴が”腹”として震えていることが確認できると思います。
私は この時に、保持している手のひらの触覚情報を識別しながら、個別部位の運動として頭の中に整理しながら記憶していきます。
また、デジタルカメラで ゆらした指板を撮影すると、水平に保持したヴァイオリンと同じように、両端がゆれているのがわかります。
指板のみでも 軽く振るだけで これだけ揺れますから、慣れると このやり方で十分な判断ができると思います。
それでは 次ぎのステップにいきましょう。
弦楽器をこの動画イメージに重ね、全体の部材を置き換えて考えてみてください。
動画の彼は、先端の白羽と 15本の枝を交互に組み合わせ均衡させ、それをスタンド上に置いています。
この動画で 白羽を スクロールに見立て、それを支える4本の枝をペグボックスとみなし 次の3本がネック部で、残り8本が響胴といった具合にイメージするのは どうでしょうか?
『 Performing Seal 』 1950年
それら部材の接続点が “運動”を誘発しやすいように工夫されていることが “オールド・ヴァイオリン”の響きを生み出すためには重要と私は考えており、この投稿で取り上げた指板端の形状加工でも 同じような意識で探っています。
もう少し 具体的に言えば、私は 弦楽器を水平に保持してゆらして調べるときには、まず重心位置とその”かたまり量”を読み込みます。
そして、指板端を加工する場合もそうですが、ほかの部材もふくめた全体の部材がゆれている時に、運動の中心が重心近くにコンパクト( ヴァイオリンの場合でこの理想イメージを言うと『おおよそ長径9cm、短径3cm程のラビーボールを長くしたような形状で雲のような集合体なのに質量は 30g位の塊。』といった感じ・・です。)に集まるように工夫します。
それにより、飛行機の操縦特性がよくなるのに似て、弦楽器の場合にも響きのレスポンスが良くなります。
また ねじりの反復がスムーズとなり 表板の共鳴音が増えますので、この効果を狙って 弦楽器では”対”となる要素が多用されたと考えるようになりました。
旅客機は 主翼のドア位置が重心位置として設計されており、それを挟むように重量物である前後のエンジンが配置されています。因みに人間が一人、一番前の席から一番後ろの席まで移動するとと重心位置が約12mm 変化するそうです。
重心位置は離陸時の Stabilizer Trim Setting にも関係しますので、B747 にはノーズギアにセンサーがあり、重心位置を感知しており、その測定結果と Stabilizer Trim Setting の間に矛盾があると警報が鳴るくらい重要とされているそうです。
作業要点をいうと、指板端はもちろん、魂柱位置や駒位置、サドル部でのテール・ガット位置などのバランス調整として、私が 弦楽器を水平に保持しながらゆらすときには、諸条件の変更によって まず重心位置とその”かたまり量”を旅客機の空間位置でたとえれば、車輪や 床下の貨物室の高さに可能な限り集めます。
それから 指板端の加工も含みますが、新たな設定変更によって 重心位置とその”かたまり量”を少しずつ旅客機の客席フロアーの高さまでそのまま上昇させます。
理想としては、旅客機を横から見たときの客席のヘッドレストの高さ( 表板と側板の 接着面 / horizontal の位置 )くらいまで重心の”かたまり量”が 上がった状態にすることを目標としています。
私はこのような考えから “オールド・バイオリン”などでは、複雑に”対”をなすそれぞれの部分の運動が調和するように、プレパレーション ( preparation )として、指板の場合も 材木特性や 長さ、板厚、そして形状などが緻密に設定されていると信じています。
Joseph Naomi Yokota, Cello fingerboard 198.0g 2023年 ( left )
たとえば、今 私が作っているチェロの指板は、写真右側のような黒檀指板材480.3gを 左側のように 198.0gまで削りながら、長さの中点に重心が合うように加工しました。
ですから、横から見ると平たい二等辺三角形が 丸棒の上に逆さに置かれた状態でも、この指板は 1 : 1 バランスにより静止します。
このように バランスにこだわる理由は、弦楽器にとって重要な原理が 1 : 1 や 2 : 3などの”正数比”の応用で 振動エネルギーが減衰しにくい振動体を生み出すという事であると理解しているからです。
これに従って設定をする訳ですが、私の設計プランから例をあげれば、前回までの自作チェロではヘッド+ネック ( 300.5g )、指板 ( 188.5g ) 、ナット ( 2.4g )の合計重量を 491.4g として、ペグ 65.8g を含まない パーツ無し本体重量 1952g ( 下図の重量はニス塗り前の白木重量です。) と規定して、1 : 3バランスで完成させており、今回も当初プランでは近似値にする予定でした。
Joseph Naomi Yokota, Cello 2023年 508g → 574g
しかし、熟慮の末に『 ペグの重さは取り外しパーツではなくヘッド部に含まれるべき。 』と考えを改め、オールド弦楽器に学んで 表板材のヨーロピアン・スプルースに年輪が強く重めの キャラクターが立ったものを選んだことも考慮することになりました。
“Cello fingerboard” Neuner & Hornsteiner – Ludwig Neuner( 1840-1897 ), Mittenwald 1890年頃 ■響胴 1648g / 539.0g / Fingerboard 183g
Old Italian Cello, ca.1700 ( F 734-348-230-432 / B 735-349-225-430 / stop 403 / ff 100.6 ) ■響胴 1630.9g / 643.9g / Fingerboard 292.3g
2023-10-03 Old Italian Cello 1700年頃
ネック部重量 643.9g → 557.6g ( 86.3g削減 ) / Fingerboard 292.3g → 214.5g ( 77.8g )
このようにプレパレーションの段階で 複雑に”対”をなす部分の運動が調和するように 、材木や 長さ、板厚、そして形状などを設定した製作者が、最後に試奏をくり返しながら響胴の共鳴音( レゾナンス )を調節し決定するのが “オーセンティック ( authentic )”な製作方法であると 私は考えています。
あくまで個人的な意見ですが、”オーセンティック” な指板端形状のイメージは、このヴァイオリン指板端のような形状ではないでしょうか。
私が”様式化”したと表現した指板は、 指板をネック側と接着する前の裏側窪みなどを削るタイミングで、意図してエッジを残す部分以外は、あらかじめ”粗削り”として丸めた状態で仕上げとし、そのあとでは触らないで”決め打ち”をした 可能性があると判断したということです。
まあ・・ 私もそうですが、そもそもプレパレーションの段階で 指板材木や、長さ、板厚、そして形状などを考え”指板軸”や バランス重心を音響的に決めた本人であれば、経験則である程度は削れるのではないでしょうか。
そういうことで、皆さんの ご健闘を お祈りいたします。
“Violin fingerboard” Pietro Sgarabotto, 1962年
なお 指板の下側( 空中に突き出している部分 )の調整に関しては、”対”となる 2点間の 中央軸を 低音側に少しだけ誘導して”ねじり”を増やし、その結果 共鳴音を向上させる やり方がありますが、投稿が長くなりますので 後日の投稿で お話しようと思います。
この投稿はここまでとします。
2023-5-03 Joseph Naomi Yokota
● モダン弓の製作方法が “簡略化”された時期と、その後について。