私は “オールド・バイオリン”の特徴である、へり部分の側板からオーバーハングする設定が “意図的”に少なくされている部分があることは音響的に重要と考えています。
Andrea Amati ( ca.1505-1577 ) , Violin “Charles Ⅸ” 1566年頃
これは 裏板の焼いた針などでつけられた痕が明瞭なヴァイオリンで確認すると、オーバーハングする設定が “意図的”に少なくされている部分は 直線状の軸線に対応している事からも同意していただけると思います。
Andrea Amati ( ca.1505–1577 ) , Violin 1555年頃
例として アンドレア・アマティのヴァイオリンで確認してみましょう。
Andrea Amati ( ca.1505–1577 ) , Violin 1555年頃
このヴァイオリンは 裏板 右回転 22.4°位置の下端部オーバーハングがかなり削り込まれているようです。
このように “オールド・バイオリン”では ライニングのすぐ近くまで削られたヴァイオリンが何台も存在します。
但し、ここまで削り込む加工がされたものは 16世紀から 19世紀までの弦楽器においてその存在は貴重です。
上図のように ニコロ・アマティ ( 1596–1684 ) や アントニオ・ストラディヴァリ ( 1644-1737 ) のヴァイオリンでは オーバーハング部の削り込みは外見上の違和感が少ない仕上げとなっています。
Andrea Amati ( ca.1505–1577 ) , Violin 1555年頃
Nicolò Amati ( 1596–1684 ) , Violin 1651年
Antonio Stradivari ( 1644-1737 ) Violin “Rode – Le Nestor” 1733年
いずれにしても下図のように左下コーナー部で パフリングの外側の幅を確認したあとで 左下部のパフリングの外幅を見てみると、あきらかに差異があることが分るのではないでしょうか。
Francesco Goffriller ( 1692–1750 ) Violin 1719年頃
Francesco Goffriller ( 1692–1750 ) Violin 1719年頃
2017-2-04 Joseph Naomi Yokota