● ピアノの弦 ( ミュージックワイヤー) の本数
Steinway / Concert grand piano “D 9’ Grand Grand” それから 私は ピアノの鍵盤と弦 ( ミュージックワイヤー)が基本としては一対一対応ではないことも重要だと考えます。たとえばこのスタインウェイ・コンサートグランドピアノのD型の場合 下の表にあるように88鍵盤のうち左端からの 8鍵だけは音響上の理由で 1鍵に弦が 1 本対応していますが、9鍵から13鍵は弦が2本で残り75鍵は 1鍵に弦が3本張られています。つまり、このピアノは 88鍵を操作することで243本の弦が響きのエネルギーを供給する仕掛けになっています。 ピアノはベーゼンドルファ・インペリアルのように97鍵盤のものや、ブリュートナーのように高音部に4本の弦が張られているものもあります。そして弦長とピッチの設定も張力に影響しますから正確な数字はあげにくいですが 、一般的なピアノは 88鍵盤に対して200本以上の弦が張られ、弦1本あたりの張力は90kgほどのため 全体の張力は おおよそ 20t 位と私は思っています。 また 念のために申し上げれば 一般的なピアノは弦が折り返して張られていますので張る前は”2本”分が1本とも数えられますし 「総一本張り張弦方式」ピアノは折り返し無しで張られているなど多種多様です。これは私の専門ではありませんので 一般的なピアノの事例としていただくために 鎌倉にある株式会社 ピアノ工房SUGIURA さんのサイトへのリンクを貼らせていただきましたので参考にしてください。 ”オールド・ヴァイオリン”型の弦楽器を製作できなくなったのは それらが持つ『音の数』を十分に意識できなくなったことが最も大きな原因であると考えています。