この他に私はネックや指板について考える場合 1910年頃に ミラノで レアンドロ・ビジャッキ( Giuseppe Leandro Bisiach 1864 – 1945 )氏が製作したヴァイオリンに助けられています。 これは所有者の方が 23年程前に 当時 ‥ 一般的に認識されているレアンドロ・ビジャッキ作 ヴァイオリンの販売価格の2倍くらいの値段で購入されたものです。
すばらしい事に 1910年に ブリュッセルで開催された万国博覧会にイタリアから出品されゴールド・メダルを受賞した製作当初の状況がほぼそのまま保たれています。
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このヴァイオリンは 1910年のブリュッセル万国博覧会の写真と 2012年に私の工房で撮影した写真をつき合わせると 指板の左右表板の『 演奏キズ 』や 表板C型部センター・バウツ付近の『 弓の打撃痕 』や それ以外のへりについている『 キズ 』も製作時の加工によるもので、裏板やヘッドのニスが剥がれている『 景色 』も製作時に加工されたことが確認できます。
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ちなみにブリュッセル万国博覧会は 1910年 4月23日から 11月7日までベルギーの首都ブリュッセルで開催された国際博覧会で 会期中に 1300万人が来場したそうです。 この博覧会にイタリアから出品されたレアンドロ・ビジャッキ( Leandro Bisiach 1864 – 1945 )が製作したヴァイオリンのラベルには 1910年にミラノで製作したと書かれています。 これはおそらく 4月からの万国博覧会出品のために前年にはあらかた完成していたヴァイオリンに このラベルを貼って仕上げたものと 私は推測しています。
私はこのヴァイオリンを 100年前の『 標準型 』として参考にしています。 ネックや指板などもとても興味深い設定です。
Giuseppe Leandro Bisiach ( 1864 – 1945 ) / violin 1910 Milano
表板 サイズ 351.0 mm – 165.2 mm – 107.6 mm – 205.0 mm
アーチ 17.0 mm
裏板 サイズ 351.5 mm – 165.7 mm – 107.6 mm – 204.6 mm
アーチ 16.6 mm
ネック長さ 129.0 mm
ストップ 192.5 mm
ネック高さ( 表板からトップ・エッジまで )E-side 6.2 mm : G-side 6.5 mm
( 指板エッジまで ) E-side 10.1 mm : G-side 10.5 mm
ネック厚さ 17.0 mm – 20.2 mm
指板端の高さ( 表板から ) 17.9 mm
指板 23.1 mm – 42.3 mm – 266.5 mm
ナット( 1-4 スペース ) 16.3 mm
サドル 34.5 mm( 7 – 20.5 – 7 )、H 5.0 mm( 1.0 )、D 5.5 mm
F字孔間 39.4 mm
F字孔長さ L 68.5 mm – R 69.0 mm
ボタン 20.9 mm – H 12.3 mm
側板 Eサイド N 28.2 mm – 28.8 mm – C 29.4 mm – C 29.3 mm – 29.4 mm
側板 Gサイド N 28.3 mm – 28.2 mm – C 29.2 mm – C 29.4 mm – 29.4 mm
ヘッド 106.5 mm ( 38.0 mm – 68.5 mm )
アイ 39.5 mm
ペグ・ホール位置 N-side 16.0 mm – 14.0 mm – 23.5 mm – 13.0 mm
パーツ無し重量 374.0 g
ただし 念のために申し上げないと私にはどういう事情かは分かりませんが、このヴァイオリンは 彼のどのヴァイオリンよりも特別です。