Baroque neck block. It is asymmetric.
it’s beautiful!
2016-10-23 Joseph Naomi Yokota
Baroque neck block. It is asymmetric.
it’s beautiful!
2016-10-23 Joseph Naomi Yokota
ヴァイオリン のネック部が振り子のように揺れてくれれば さぞ凄い響きが生まれるかもしれません‥ 。
このヴァイオリンは ジェローム・チボヴィーユ・ラミー( Jerome Thibouville Lamy 1833- 1902 )が設立した J.T.L.社( Jérôme Thibouville-Lamy & C. ) のフランス東部 ミルクールにある楽器工場で 1/4サイズ( 267.0mm )の上級品として製作されました。私は 1902年頃にフランスで製作されたと考えています。
そもそもこのヴァイオリンは 私が 20年程前に販売したものですが、その 2年後のネック折れは衝撃的でした。
このヴァイオリンは 製作されて 90年程の期間 ネックが折れなくて使用出来たのですから個人的には評価しようと思いますが‥ 私にはこのやり方は真似ができません。
この J.T.L. ” Le Parisien ” シリーズは 1901年版カタログで 1/2と3/4サイズが登場し、1/4サイズは 翌年の 1902年版と1907年版に掲載されているのを私は確認しましたが 下にあげさせて戴いたように1912年版では すでに製造が中止されたのがわかります。
それから関連資料が少ないため断片的な情報による推測ですが 私が以前読んだ資料に1909年頃にミルクール工場で火災に伴う大幅改変があった記述を目にしましたので、この 1/4 サイズ( 267.0mm ) ” Le Parisien ” シリーズは 1902年から1909年の期間製作されたのではないかと個人的には 思っています。
1867年 J.T.L.カタログ http://www.luthiers-mirecourt.com/thibouville1867_2.htm
1901年 J.T.L.カタログ http://www.luthiers-mirecourt.com/thibouville1901_1.htm
1912年 J.T.L.カタログ http://www.luthiers-mirecourt.com/thibouville1912.htm
1919年 J.T.L.カタログ http://www.luthiers-mirecourt.com/thibouville1919.htm
2016-10-21 Joseph Naomi Yokota
縦方向に拡大したことで ‘へり’の起伏が見えるでしょうか‥ 。
2016-7-21 Joseph Naomi Yokota
疑い深い人のことを英語では ” Doubting Thomas “と言います。新約聖書のヨハネによる福音書( ヨハネ20:24-29 )で 不在だった使徒トマスが他の弟子たちに非常に実証的な要求をしたことからきている訳ですが、悲しいことに 私が ヴァイオリンは 非対称楽器であることをお話しすると‥ 現代の 弦楽器製作学校では ヴァイオリンは左右対称の形をしていると教えられている関係でしょうか “非対称” の意味が理解できずに似たような反応をされる方が少なくありません。
そこで私は ヴァイオリンのほんとうの響きを疑似体験していただくことで 誤った認識を修正していただこうと決心しました。
では‥ はじめに ルネサンス期にイタリアで製作された一枚の油画をみてください。
Alessandro Bonvicino( ca. 1498–1554 ) Brescian 1530年頃
Alessandro Bonvicino detto il Moretto da Brescia ( c.1498-1554 )1530年頃
アレッサンドロ・ボンビチーノは ヴァイオリンという楽器が誕生した時期に ブレシアとヴェネチアで活躍した画家です。 彼は宗教画を中心として すばらしく緻密な油画などを残しました。 因みにこの絵は 1530年頃に製作されたそうですが‥ 私はこのモチーフとされた楽器は本当にすばらしい響きをもっていたと信じています。
解像度が高い画像を拡大してみると‥ おそらくペグは左側 4本で 右側 3本となっていて これに 7本の演奏弦が張られているのですが、それに加えて テールピースの 6番、7番弦の穴を通して弦状のもの( 上図の赤線 )の両端を ペグボックス または糸巻きに刺した金属製ピンに縛りつけてあります。
一部の専門家はこれを レゾナンス弦と考えているようですが、私は一本のガット弦をテールピースの2つの弦穴を通し 両端を金属ピンに固定することで張力を加えるようにしてあると思っています。
上の絵画にある楽器もそうですが‥ この時期に製作されたリュートやヴィオール属、ヴァイオリン属の弦楽器の中には、下のオックスフォードのアシュモリアン博物館に展示されている古楽器や ジロラモ・アマティの リラ・ダ・ブラッチョのように『 回頭機構 』を持った弦楽器があったことが私の念頭にあるからです。
因みに、ヴァイオリン製作の歴史では イタリア最古の製作者として知られる アンドレア・アマティ( Andrea Amati ca.1505 – 1579 )は プレヴェザの海戦の翌年である 1539年頃にクレモナに工房を設立したことが知られています。
このアマティ家は 1740年に アンドレアの曾孫である ジロラモ Ⅱ( Girolamo Ⅱ Amati 1649-1740 )が亡くなるまで四代、およそ200年間にわたって ヴァイオリンなどの名器を製作し続けたとされています。
ですから アマティ工房で 黎明期に製作されたヴァイオリンなどにも『 回頭機構 』として ペグボックス に斜めに金属製ピンを通した跡を見ることができるのです。
残念ながら現代では これらの弦楽器のほぼ全てのピン穴は埋められてしまったため正確な検証が難しくなっていますので、ジロラモ・アマティの リラ・ダ・ブラッチョは本当に重要だと私は思います。
それでは、ここからこの『 回頭機構 』のような揺れにより得られる響きの検証実験についてご説明したいと思います。
この実験に使用するために 私は アレッサンドロ・ボルティーニ氏が 1985年に製作したヴァイオリンと、サンドロ・アジナリ氏が 2000年に製作したヴァイオリンを用意しました。
Alessandro Voltini( born in Cremona, 1957 ) violin 1985年http://www.voltini.it/bio.htm
さて 実験は簡単です。私たちが日常的に使用している輪ゴムを 1回の実験で 1本使用しますので 数本準備します。そして、まずなにもしていない状態で鳴らします。それから写真にあるように輪ゴムをかけて同じように試奏してみます。
私はこれまでこの手法を頻繁に試して その結果を知っていますので‥ 皆さんが ご自分のヴァイオリンで試した場合でも響きの差は 驚愕するくらいに違うと思います。
この時 なるべく比較し易いように私は輪ゴムをかけた状態で 1分くらい鳴らしたら、それをハサミなどで切ってはずして すぐにまた試奏をして違いを確認しています。『 無し→有り→無し 』で1回で 、これを2回くり返し 響きの変化を聴き分ければ 実験としては十分だと思います。
なお‥ 私が 実験に使用した輪ゴムは下写真にあるものです。
それから サンドロ・アジナリ氏が製作したヴァイオリンに取り付けられたペグは 輪ゴムが引っ掛かりにくかったので市販されているセロテープで止めました。
この実験は輪ゴムの張力( 0.36kg )で ヘッドの回転運動などのゆれや響胴のねじりを増やしたことによる響きの変化を確認するものです。
そして‥ 今回 実例として挙げさせていただいた ヴァイオリン 2台を用いた実験でも響きの差は劇的な違いがあったことをここにご報告しておきます。
Sandro Asinari( born in Cremona, 1969 ) violin 2000年
https://www.facebook.com/sandro.asinari
最後に この実験のリスクについての考察をしておきたいと思います。
下図にあるように もしペーター・インフィールドの4本セットを張っていたヴァイオリンで、E線を コレルリ・アリアンス・ヴィヴァーチェに変更すると約 0.5kg 張力が増えます。
これとは逆に張力が約 8.3kg のペーター・インフィールドE線を張力が 7.2kg 程とされているドミナントのE線にすれば約 1.1kg 減ることになります。
私は このような状況でヴァイオリンは使用されていて それでも 強度上の大きな問題は起っていないことと、輪ゴムの張力が弦 4本の合計張力の 2%以下であることから‥ 特に問題はないと判断しています。
ただし、ご自分でこの実験を実施される場合は 当然ですが あなたの自己責任となりますので 慎重に状況把握をしながら行なって下さい。
なお 剛体の『 運動 』につきましては 私の娘が使用した都立高校の物理の教科書を下に引用させていただきました。
それから‥ 余談で恐縮ですが 私は 剛体の『 運動 』の具体例として私は いつもバトン・トワリングのバトンのお話しをしています。
バトンは中央の棒をシャフトと言い両端のおもりは大きい方がボール、小さい方はティップと呼ばれています。 そしてこの道具で最も重要なのは ボールとティップの重さが異なることで重心がシャフトの中心からずらしてあることです。
この結果‥ バトンを空中に回転させながら投げあげると回転運動を持続しながら落ちて来る現象が生じます。もし両端が同じ重さだったら 重心が中央に来てしまうので 回転運動だけでなく並進運動もおこりやすくなり 安定した回転運動が得られなくなってしまいます。 これはブーメランなどにも共通しています。
ヴァイオリンなどの弦楽器でもゆれを持続させることで より低い音域の響きがうまれる条件がそろうために‥ つりあいにくくする工夫がいくつもなされています。
たとえば ヘッドに糸巻きが交互に取り付けられていたり、響胴やF字孔が微妙な非対称とされていることなどが それにあたります。
私はこれらの実験により 新作イタリーに限らず現在 製作されているヴァイオリンの多くが “ねじり”が不足していることで 多くの不具合が生じていると考えています。
それから 私は『 オールド・バイオリン 』ではない 現代のヴァイオリンにおいても その仕組みの一部は継承されているので ‘節’と’腹’の役割を踏まえバランスをとれば 18世紀ころの豊かな響きはある程度は再現が可能と思っています。
今日はここまでといたします。
ありがとうございました。
2016-7-21 Joseph Naomi Yokota
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2010-12-12 16:20 / Opening
2013- 8-24 16:08 / 50,000 passing
2013-12-04 13:25 / 60,000 passing
2014- 3-13 01:53 / 70,000 passing
2014- 6-17 22:34 / 80,000 passing
2014-10-10 14:42 / 90,000 passing
2015- 1-29 18:33 / 100,000 passing
2016- 7-17 18:45 / 150,102 passing
2016-10-20 16:27 / 158,752 passing
弦楽器裏板内側の帯状羊皮紙と 軸組について
『 オールド・バイオリン 』の時代に製作された ヴァイオリンやリュートなどの弦楽器で 裏板内側に帯状に貼られた羊皮紙( The parchment covering )についてお話ししたいと思います。
Jacob Steininger ( c.1751-1823 )violin Mainz 1781年
“DIE MAINZER GEIGENBAUER”
Jacob Steininger / violin Mainz 1781年
これは ヴァイオリンの場合では 裏板の中央付近に 幅が 6~7mm 程で、長さが 31cm 前後の帯状に貼られていたりします。
このような羊皮紙の利用方法を誰が発案したのかは正確にはわかりませんが、たとえば チロル地方の Absam の弦楽器製作家 Jacob Stainer( ca.1617-1683 )のヴァイオリンによく用いられたことは知られていますし、他の地域で製作された弦楽器でもめずらしくはありません。
私がこの羊皮紙に着目したのは 1993年に Bologna で出版された ” Strumenti musicali europei del Museo Civico Medievale di Bologna ” に掲載された コレクション番号 97の 下にあげたテナー・リュートの写真を目にしたからです。
これは Hans Frei in Bologna のラベルが入っていて 1597年製作の テナー・リュートとされています。
私は この写真で ジョイント部ではない中央付近にこのように羊皮紙が貼られているのを目にして‥ 強い衝撃を受けました。
リュートは ジョイント部が剛性が高く、そのうえに下の製法のようにジョイント部の厚みはそのままにしてフラット部を溝状にスクレープされたことにより メリハリが大きくなるようにして仕上げられています。
ですから‥ 上図で羊皮紙が貼られている位置が重要な意味をもっていると 私は直感したのです。 そこで改めて 羊皮紙が貼られたヴァイオリンを調べてみたところ、センター位置から微妙にずれた位置が選ばれていることが分かりました。
その時から私は 音響上の判断としてどのような基準で その位置が選ばれたかを真剣に考えはじめました。
意外とこれは難問で 実際に表板をあけないで F字孔から羊皮紙を貼る実験をして それが実行不可能であることを確認したり‥ さまざまな試行錯誤が続きました。
たとえば 弦楽器にとって ニカワで接着されている表板を剥がす作業は当然ながらリスクです。上写真の ヴァイオリンと出会った時期に私は『 ヴァイオリン内部に羊皮紙を貼るためだけに表板がはがされる事はあったのか? 』という設問について長考していました。
私は このヴァイオリンの幅の狭い羊皮紙跡を『 大急ぎで剥がしたかのような跡 』と解釈し‥ この楽器は内部の羊皮紙を貼りなおすために表板が剥がされ 幅の狭い羊皮紙をはぎ取り すぐに 幅広の羊皮紙を貼り その直後にふたがされたと判断しました。
これらの羊皮紙については いつ貼られたかの証明が事実上不可能なので あくまで個人的な見解としてですが‥ 私は 羊皮紙は製作時だけでなく弦楽器の音響調整としても用いられていたと考えています 。
『 オールド・バイオリン 』などを調べてみると 下画像のシュタイナーのように製作時の位置そのままの可能性がある楽器もありますが、組みあげたときに不調和だった時は新品であっても表板をはがして位置の変更などの調整が必要となったと私は推測します。
なお‥ 話がそれて恐縮ですが、私は皆さんに 下のリンクでこの画像をご覧になることをお奨めしています。
状況証拠ではありますが ‥ 私は Rudolf Hopfner 氏のこのサイトの ” Measuring( 測定 )”の click here. にある羊皮紙下の印の存在は 私も意味深いと思います。
http://www.violinforensic.com/visualizations/measuring
Underneath the parchment covering the center joint of the back of the violin by Jacob Stainer mentioned above, five marking points are hidden. Their distance from the lower end of the body can be measured precisely. To run a video of this procedure click here.
さて、ここから本題のお話しに入りましょう。
この技術でもっとも重要なのは羊皮紙を貼ることで得られる音響上の効果を事前に予測することです。 そこで私は 表板をはがさない状態で羊皮紙を貼る位置を探る実験方法を考えました。
これは 羊皮紙の効果を市販のビニールテープを利用して推測するものです。
上写真のように ヘリを 2mm程折り返した状態で ビニールテープの粘着力を低下させるためにケント紙などにまっすぐに貼り 31cm程でカットします。
それから 実験に用いるヴァイオリンのニスを傷めないために‥ 何度か貼ったり剥がしたりをくり返して必ず軽く付着する程度まで粘着力を調整してください。
粘着力の調整が済んだら カッターで幅が 6.0mm程にカットしてください。
因みに、私が この実験に使用したビニールテープ( 310mm × 6mm )の重さは 0.4g でした。
ビニールテープの準備が済んだらヴァイオリンを用意します。
なお‥ 私はこの投稿写真を撮影するために 新作イタリー・ヴァイオリンを使用しました。
これは日本国内で クレモナの製作者がつくったヴァイオリンとして販売されている標準的なグレードのものです。
さて実験は まずなにもしていない状態でヴァイオリンを鳴らし‥ その後で下写真のように裏板の中央より少し左側( E線側 )の位置で、上下ブロックの間にあたる部分に 先ほど準備したビニールテープを貼ります。
そしてこの状態で ヴァイオリンを試奏します。それから、このビニールテープをゆっくり剥がしてから‥ また試奏をします。これを数回繰り返し 響の変化を確認してください。
羊皮紙を貼るためのシュミレーションとしては、ビニールテープを貼る位置を少しななめにしたり左右にずらしたり、あるいは 5mm 位ずつ切って短くしていきながらヴァイオリンの響き方によって最良の位置を決定します。
私が実際に このシュミレーション結果に合わせて 表板を剥がしてからビニールテープの反対側の位置に同じサイズのティンパニーの薄皮を接着する加工を、自作ヴァイオリンやオールド・ヴァイオリンでおこなった限りでは‥ ほぼ同じ効果がみとめられました。
私は このシュミレーションを皆さんに経験していただければ この投稿のタイトルとした ” あなたの楽器と ビニールテープ 0.4g を使って 『 オールド・バイオリン 』の響きを疑似体験してください! ” が 大袈裟な表現ではないことが理解していただけると思っています。
結果としてこのシュミレーションによって 私は響胴中央部の軸組の設定を学び、製作に活かせるようになりました。
では‥ 本日はここまでという事にさせていただきます。
ありがとうございました。
2016-10-20 Joseph Naomi Yokota
私が製作した ‘悲しい失敗例’ で 3つの要素をお話しすると、まず ① の重心は重さがそれなりにある事が重要です。形状としても 赤矢印で示したスペースはしっかり確保した方がよいと思います。
それから ② としてある部分は特にですが‥ 駒の足幅は 太いとあまりいいことがありません。
そして ③ として示したゾーンは幅がありすぎると年輪方向に曲がりが起こりやすくなり、4本の弦の振動が干渉しやすくなりますので狭くしたほうが賢明です。
この結論は 左端の市販品のオベールデラックスなどを用い、 私があげた条件で削り込んでみると実証できます。
2016-10-19 Joseph Naomi Yokota
改めて言うまでもなく駒は重要だと‥ 私も思います。
私は 色々なタイプの駒を自作して検証した結果、右端の50年程前に読響の方が購入したチェロに取り付けられていた駒が 最も優れていると思っています。
駒の概略ですが 赤字は厚さで、白字は幅を表しています。
自作チェロ駒は 手間がかかり当然高価ですが、材木のクセが取り込めるので 音響上の効果は絶大です。
この駒にめぐり合えたことを神様に感謝したいと思います。
2016-10-19 Joseph Naomi Yokota
皆さんは ヴィオール・オイル( Viol )をご存じでしょうか。ポリッシュオイルでは定番の ドイツ製の磨き油です。なお、現在の税込定価は 2,160円となっています。
穏やかなポリッシュオイルで 成分的にも安定しているため、弦楽器工房はもとより 多くの演奏家にも愛用されています。
この ヴィオール・オイル( Viol )の一般的な使用法は 柔らかい布に少量をしみこませ ニス部に塗布して、その後に別の柔らかい布でふき取るように磨きこみます。
残念ながら 効力が続くのは 2~3日ですが、ヴィオール・オイルで丁寧に楽器全体をみがくと、明らかに音色が良くなる場合が多いようです。
さて本題ですが、私は 皆さんに この ヴィオール・オイル( Viol )を綿棒で下のように塗ることで響きが改善することを確認していただきたいと思います。
実験は簡単です。綿棒を使って 私が 【 No. 2 model 】と呼んでいる図の 14本の赤線部に ヴィオール・オイルを線状に塗布します。
上写真のように 紙定規を使えば なおさら良いですが、私の経験では フリーハンドでも十分効果があると思います。
煩雑に見えるかもしれませんが 下の写真の白字の番号順で、ヴィオール・オイルを塗布するのに必要な時間は 約1~2分位だと思います。
また チェロやビオラでは この【 No. 3 model 】の方がバランスがよい場合も多いようです。
皆さんに この塗り方の劇的な効果を楽しんでいただければ幸いだと思います。
2016-10-19 Joseph Naomi Yokota
弦楽器工房の関係者でも ご存じな方がすくないようですが、『 オールド・バイオリン 』などの弦楽器ヒール部は ヘッドのゆれを留めにくいように製作されていたようです。
特にヒール・カーブは確認しやすいですので調べてみてください。
そもそも、『 オールド・バイオリン 』などの継ぎネックのときに 「 ??? 」という経験をされた方は多いと思います。
そういうことで‥ 私は 摩耗でこの形状になることは 100% 無いと信じています。
2016-10-19 Joseph Naomi Yokota
これは私が 12年前に販売したもので、所有者の方の希望により側板幅の復元を中心とした整備を先日、 総費用 ¥ 1,000,000- で行なったものです。ニス補修前の資料写真ですから 側板の裏板側の復元部が 分かりやすいと思います。
この楽器は 私が販売したときには すでに内部の表板側ライニング幅が 5.0 ~ 6.2mmに対して 裏板側ライニングが 2.0mm以下となっていたり、側板幅に対してエンドピン穴が不自然な位置となっていて 製作時より削られ改変されているのがあきらかでした。
もちろん それは販売価格にも反映されていましたので 承知のうえで所有者の方は購入してくださいました。
それでも このヴァイオリンは 楽器としての性能が良好でしたので 購入者の方は10年以上の期間、 購入時の状態で愛用されていました。
ところが、その後に 私の自作ヴァイオリンを購入され弾き比べるうちに 「 新品でオールドの音がさせられるという事は、はじめに購入した『 オールド・バイオリン 』はもっと凄い音がさせられますよね!」とお考えになり、「 この際ですから 費用は構わないので 徹底的な整備をお願いします。」となりました。
因みに この方は 原子炉技術関係者なので「 響胴内の空間形状を考えると‥ 側板は 調和可能な最大値としてください。」とのことでしたので 私がこの数値を決定しました。
さすがに側板のほかに ブロック入れ替えやライニング、継ぎネック、バスバー交換、指板、ナット、サドル、駒、魂柱の作り直し、表板ブロック部修復や ペグ、テールピース、エンドピン交換など‥ 考えられるすべての変更をおこないましたので 組み立てて響きを確認するまで私は緊張し続けました。
しかしそれらは、整備後の音を聞いた瞬間に報われました。
それは 大きな達成感を私にもたらし、依頼者を十分に満足させるものでした。
それにしても 表板アーチが 20.7mm、裏板アーチが 19.1mm のヴァイオリンで 、側板幅がネック側 29.7mm で、エンド側が 32.9mm は凄かったです‥ 。
2016-10-18 Joseph Naomi Yokota